弁護活動のポイント
④「証拠開示」
刑事裁判において、無罪か有罪かの事実認定は証拠に基づいて行われます。
刑事裁判で無罪判決を得るためには、弁護人の活動として証拠をできるだけ多く集めてその内容を把握することが重要です。
検察官が裁判所に、取調べるよう請求する証拠を、検察官請求証拠といいます。この検察官請求証拠は弁護人に開示されますが、これは警察・検察が収集した多くの証拠の中の一部です。
有罪を立証するための証拠であり、また有罪とした上で検察官が求める重い刑を科すべき事情を立証するための証拠です。
検察官請求証拠以外にも、警察・検察は数多くの証拠を収集していますが、弁護人が開示を請求しないと、積極的に多くの証拠を弁護人に見せてくることはなく、したがってその内容も明らかにならないのです。
弁護人の活動として、警察・検察が収集した証拠について、適切に証拠開示請求を行いできる限り多くの証拠を開示させてその内容を把握することが重要です。特に、公判前整理手続では、弁護人に検察官に対する証拠開示請求が権利として規定されています。
- 証拠開示請求をしない
- 検察官が任意で開示する証拠しか検討しない
- 証拠開示請求について形式的な検討しかしない
検察官から、裁判所に証拠請求する証拠以外でも、他の証拠を弁護人に対して任意で証拠開示する場合があります。
しかし、どこまでの証拠を開示するかは検察官次第です。弁護側にとって重要な無罪を裏付ける証拠、有利な事情を裏付ける証拠などが十分に開示されるとは限りません。
公判前整理手続における証拠開示請求は、刑事訴訟法に請求が認められる要件が定められています。
十分な証拠開示がなされるようするためには、刑事訴訟法の条文や証拠開示に関する判例、裁判例についての理解や知識が必要です。
条文を形式的に考えるのではなく、要件を実質的に満たすかを検討することが重要です。
また、警察・検察がどのような捜査を行ってどのような証拠を集めているか、事案を適切に把握し、警察・検察が行う捜査・証拠収集を想像し推測することが重要です。
このような弁護人の技量により、どの範囲までの証拠が開示されるかが左右され、訴訟の勝敗に直結するのです。