当事務所の無罪事例【上訴審無罪】
麻薬及び向精神薬等取締法違反、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律違反事件
事案の概要
指示役からの指示で、指定薬物(いわゆる危険ドラッグ)の郵送作業をしていたところ、郵送物の中に麻薬も混ざっていて、営利目的で所持していたとされた事件。被告人は、合法ドラッグとは聞かされていたため、危険ドラッグかもしれないとは思っていたが、麻薬とは思わなかった。
第一審は懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。控訴審から弁護を担当した。
争点
麻薬の所持と、指定薬物の所持では、法定刑が異なる。麻薬でないと思っていたとして麻薬所持の故意が否定されると、軽い方の指定薬物所持の罪が成立する。
麻薬所持の故意を争った。
審理の内容
第一審では、麻薬所持の故意を否定する被告人供述を取り上げることなく、自白事件として審理された。
控訴審では、被告人に麻薬所持の故意がなかったことの裏付けと、捜査段階から被告人が麻薬所持の故意を一貫して否定していたことを主張した。そして、一般人の認識では、危険ドラッグと麻薬は質的に異なる違法薬物であって、危険ドラッグの認識があっても、その延長として麻薬の認識が当然にあるとはいえない、と主張した。
麻薬所持の故意がなかったことの裏付けとして、指示役の証人尋問、被告人質問等が、新たな証拠として採用された。
弁護活動のポイント
まずは、被告人が一貫して麻薬だとは思っていなかったことを主張した。
一方で、薬物事犯の故意では、身体に有害な物質であることの認識があれば、違法薬物全般について広く故意が認められるという裁判所の判断が出ている。一般人としては、危険ドラッグと麻薬はその危険性の質が異なり、被告人も、「危険なものも含まれているかもしれないとは思っていたけれど、麻薬まで含まれているとは思っていなかった」という部分を強調した。
判決の内容
危険なものも含まれているかもしれないとは思っていたけれど、麻薬まで含まれているとは思っていなかった」という被告人供述は、共犯者供述や証拠とも整合し、信用できる。検察官の反論を踏まえても、被告人供述は不自然とはいえない。被告人に麻薬所持の故意は認められない。
原判決は被告人に実刑を言い渡しているが、麻薬の故意がないことも踏まえれば執行猶予もありうる事案である。第一審では懲役3年6月とされたが、懲役3年執行猶予5年とするのが相当である。
判決日
令和3年10月21日
指示役からの指示で、指定薬物(いわゆる危険ドラッグ)の郵送作業をしていたところ、郵送物の中に麻薬も混ざっていて、営利目的で所持していたとされた事件。被告人は、合法ドラッグとは聞かされていたため、危険ドラッグかもしれないとは思っていたが、麻薬とは思わなかった。
第一審は懲役3年6月の実刑判決を言い渡した。控訴審から弁護を担当した。
争点
麻薬の所持と、指定薬物の所持では、法定刑が異なる。麻薬でないと思っていたとして麻薬所持の故意が否定されると、軽い方の指定薬物所持の罪が成立する。
麻薬所持の故意を争った。
審理の内容
第一審では、麻薬所持の故意を否定する被告人供述を取り上げることなく、自白事件として審理された。
控訴審では、被告人に麻薬所持の故意がなかったことの裏付けと、捜査段階から被告人が麻薬所持の故意を一貫して否定していたことを主張した。そして、一般人の認識では、危険ドラッグと麻薬は質的に異なる違法薬物であって、危険ドラッグの認識があっても、その延長として麻薬の認識が当然にあるとはいえない、と主張した。
麻薬所持の故意がなかったことの裏付けとして、指示役の証人尋問、被告人質問等が、新たな証拠として採用された。
弁護活動のポイント
まずは、被告人が一貫して麻薬だとは思っていなかったことを主張した。
一方で、薬物事犯の故意では、身体に有害な物質であることの認識があれば、違法薬物全般について広く故意が認められるという裁判所の判断が出ている。一般人としては、危険ドラッグと麻薬はその危険性の質が異なり、被告人も、「危険なものも含まれているかもしれないとは思っていたけれど、麻薬まで含まれているとは思っていなかった」という部分を強調した。
判決の内容
危険なものも含まれているかもしれないとは思っていたけれど、麻薬まで含まれているとは思っていなかった」という被告人供述は、共犯者供述や証拠とも整合し、信用できる。検察官の反論を踏まえても、被告人供述は不自然とはいえない。被告人に麻薬所持の故意は認められない。
原判決は被告人に実刑を言い渡しているが、麻薬の故意がないことも踏まえれば執行猶予もありうる事案である。第一審では懲役3年6月とされたが、懲役3年執行猶予5年とするのが相当である。
判決日
令和3年10月21日